39.フィルム体積中の練り込み異物について

久しぶりになりますが、豆事典の更新です。
今日はポリエチレン袋をはじめポリエチレンフィルムなどに良くあるクレームで「練り込み異物」について触れてみます。
「練り込み異物」とは、フィルムの層間中に埋もれてしまって脱落しない「埋没異物」を我々の業界ではこう表現します。

ユスリカやチャタテ虫などの昆虫やダンボールや包装紙などの紙粉片などは、主にポリエチレンチューブやポリエチレンフィルムを製膜(インフレーション)成形後〜製袋工程中〜梱包工程において、生産設備からの移行転写や、生産雰囲気から二次付着するものと考えられています。
よって、見た目では二次的に付着したものですので、固着しているようでも爪等で擦ると脱落するものです。

しかし、これからご説明する「練り込み異物」とは、二次付着であってもポリエチレンチューブやフィルムをペレット段階から加熱溶融させ製膜成形以前の工程中に何らかの要因により混ざり込み製膜してしまい、フィルム体積中に埋没して爪等で擦っても脱落しない状態のものをさします。

よって、脱落しない訳ですから、「被包装物に混ざり込まない・・・・」という利点??はありますが、内容物が白色の粉末の場合など製品への異物混入かどうか紛らわしく判別がつかないものであります。特に食品をはじめ医薬品などの場合は、外観検査でチェックされた際はそれが例え練り込み異物としても製品そのものの出荷が危ぶまれます。

それでは、何故成形前の工程で練り込み異物が付着するのか??
その可能性は、さまざまなケースが考えられます。

まず、ペレット状の樹脂そのものに付着していたケースをはじめ、ペレットを輸送したフレコンバックに付着していた場合。樹脂成型機のホッパーをはじめスクリュー、ダイス、金型等に付着していた場合。さらに、樹脂を加熱溶融した際に発生してしまった樹脂炭化物・・・・など可能性としては限りがありません。
付着した異物も、紙粉片をはじめ作業員の衣服・手袋等の繊維。工場天井に付着したゴミ等の落下。地面に積化したゴミの巻き上がり。ライン清掃時の取り残された樹脂・・・等々
これまた限りがありません。

では、これら練り込み異物をどうやって除去するか??です。製膜中はオペレーターがラインには就いているでしょうが、常にフィルムを監視する訳にも行かず、またラインスピードも相当速く、とてもではありませんが小さな異物の識別は不可能です。

そうなると、ポリエチレンチューブ、ポリエチレンシートの場合は一端製造を完結し、別工程にて検品を実施する(巻直し)。または、ポリエチレン袋の場合は製袋工程中に行う。
しかし、どちらにしても、これもラインスピードからすると、よほど大きな異物でない限りは、除去は不可能です。

では、どうしても小さな異物を除去しなければならない場合・・・・これは、製膜や製袋工程中に検査機による異物除去しか方法はありません。ただし、製膜工程中においては製膜ラインを停止できませんので、目印(警戒紙)等を付けるに留まります。
あとは、その後のラインで除去する訳です。ただし、除去できる異物の大きさは機械性能に依存されます。

また、機械性能のレベルを超最強にした場合、機械は使用するには問題のない「皺」や「傷」そして影となるものも無条件で検出してしまいます。よって、ある程度の所で、異物の大きさの「折り合い」をつけなければなりません。しかし、「いやそれはダメ。人間の肉眼で確認できる有視異物は絶対にダメ!!」という場合にはどうするのか?? そのようなものはどうやって除くか??です。
ここが、重要なテーマです。

それに対する答えは、「人間の目」です。

人間の目こそが、このようなケースの場合には最高の「検品マシーン」なのです。
人間の目は機械とは異なり、いい意味での「ファジー=融通」が利くのです。機械ではその機械性能に依存されますし、「皺はOKよ」「でもこれほどの皺はダメよ」と言った判断が不得意です。
これを人間の目は、やってのけれるのです!!!

検出限界が例えば「縦(Y軸)0.1mm」「横(X軸)0.2mm」であれば、横方向の長さが0.1mmの異物は検出不可能となります。でも、人間の目では異物確認は可能なのです。
また、異物も真直角や真円のものなどありません。色も黒をはじめ赤茶色、樹脂炭化物のような透明っぽい赤茶色など、このような変形パターンにもきりがありません。
そうなると機械では検出できないものが発生していまいます。考え方として、機械性能がそれをも許さないレベルの高いものとして、今度は異物以外にフィルムの「皺」や「傷」など使用上問題のないものまで「片っ端から」異物と判断します。
そうなると、今度は「価格」に大きく影響してしまいます。それでは、どうするのか??

 

答えは「肉眼」です。人間の目ほどファジーではありますが、応用力のあるものはありません。
縦方向が長かろうと横方向が長かろうと、透明に色が混ざっていろうがいまいが・・・また、皺か傷か?など識別し対処する事が可能です。
よって、最終的に超レベルが高い異物除去は人間の肉眼検品となってしまいます。

弊社PRになってしまいますが、弊社もこの方法をシステム化した商品があります。

 検品システム
  http://www.po-aso.co.jp/lineup/d/visual_inspection.html

ただし、この人間の肉眼検品。良いところばかりではありません。
問題点は「ファジーさ」です。広いエリアの検品。動体視力。集中力。熟練度。など、人さまざまなため品質にムラが発生してしまいます。そこが、この方法の「肝」部分です。
弊社も、この部分の構築に苦慮致しました。やはり、最終的には「人間」でしょうか???!!!